最近の美容トレンドは、「顔」「髪」「体」のパーツケアに留まらず頭皮を含めたトータルケア。頭皮ケアは、髪のパサつきを抑えスッキリとした地肌環境をキープできる等メリットがたくさんあります。今回は頭皮ケアを効果的に取り入れるために、美容皮膚科医・貴子先生に解説いただきました。10代の頃から積極的に頭皮ケアを行っていたという貴子先生ならではの視点は、これから頭皮ケアを始めたい人、専門家から頭皮ケアのコツを知りたい人どちらも必見です。
「数十年前までは、髪を美しくするためにはコンディショナーやトリートメントが重要という考えがほとんどでした。しかし、科学技術の発達により頭皮は、ストレスや睡眠不足、大気汚染、そしてヘアケア剤やスタイリング剤の残留により年々過酷な状況に置かれていることがわかってきました。マイクロスコープ(対象物をモニターに映す顕微鏡)も普及しているので、もしかしたらご自身の頭皮を見たことがある人も多いかもしれませんね。ご自身の頭皮を観察して毛穴が詰まっていたり、血流が悪い状態でしたら放置するのは要注意です。
髪質の悪化だけでなく薄毛や細毛、抜け毛等につながる恐れがあります。現在では、根本的な髪の美しさと今後生えてくる髪のためのケア、美しい髪をずっと保っていくには、頭皮環境が影響するということがわかっています。肌もメイク用品を整えるだけでなく、スキンケアも重要と考えられていますよね。その発想と同じです」(貴子先生)
「頭皮ケアを習慣化すると、頭皮の血流が良くなり、フケやかゆみを抑え、髪の質感を整えます。さらに、頭皮は顔の皮膚とも連続しているため頭皮マッサージで血行をよくすることで、顔にも良い効果があります。ハリツヤがあり、すっきりと美しいお顔に導きます。頭皮ケアは、頭皮や髪を健やかな状態に保つとともに、毛髪の土台を整えていくためのエイジングケアに繋がります」(貴子先生)
「実は、私はもともと薄毛なので高校生のころから髪や頭皮のケアをしたくてずっとヘッドスパに通っています。自宅でも頭皮マッサージをシャンプー時や仕事の合間に毎日行うようにしています。」(貴子先生)
「できれば毎日頭皮ケアはしていただきたいです。ただ、頭皮のバリア機能を損なうような過度に力や圧をかけすぎるのはかえって頭皮に負担になるので注意してくださいね。特にシャンプーやマッサージ時の力加減には注意です」(貴子先生)
「洗い流さないトリートメントオイル等のアウトバス製品は忘れてしまいがちなので、シャンプーやコンディショナーに頭皮ケア成分が配合されているものを使うと良いと思います。あとは、シャンプー時に頭皮をやさしくマッサージするように洗う習慣をつけるのも良いと思います」(貴子先生)
「まずは、自分の頭皮を鏡で見て、指で触り、頭皮の固さや色味のチェックを行ってみましょう。現在の自分の頭皮の状況が、理想的な状態と比べてみれば対策もしやすいです。頭皮が正常な状態は、頭皮のべたつきがなく、乾燥もせず適度にしっとりしています。またやわらかく厚みがあり、青白い頭皮が理想的です。理想的な状態に比べてご自分の頭皮の状態はいかがでしょうか。もし、頭皮が固いと感じたら、頭皮マッサージを行うなどの具体的なケアをして対策しましょう」(貴子先生)
「食事面は、タンパク質、亜鉛、鉄分が摂取できる栄養バランスの良い食事が理想です。普段、なかなかお肉を食べる機会がない人はサプリ等で栄養を補うようにしていただくと良いと思います。生活習慣としては、ストレスが多い環境が続いたり、睡眠不足だと頭皮の血流が悪くなるため避けたいところです。また、むくみも頭皮の血流を阻害するため適度な運動やストレッチをするのも良いと思います」(貴子先生)
「顔がどんなにキレイに整えられていても、髪が美しくないと年齢感が隠せなくなります。 これからの美の基準は、頭頚部(首から上の領域)の状態が良いことだと個人的に思いますので、頭皮ケアは欠かせません。頭皮ケアをこれから始めるという方は、頭皮は髪と頭皮だけと捉えるのではなく頭頚部(首から上の領域)の状態をよくすることにつながると捉えたらよいと思います。そう考えるとやりがいがあるケアですよね。スキンケアと同じように頭皮ケアも継続が大事ですので、私と一緒に続けていきましょう!」(貴子先生)
プロフィール:
貴子
松倉クリニック代官山 院長
日本形成外科学会認定専門医
帝京大学医学部卒業
京都大学付属病院など大学病院を経て、都内美容外科クリニック院長など歴任。
日本形成外科学会認定専門医の知識を活かして正しい美容医療を行う。
2012 年1月より現職
Interview :玉絵 ゆきの
Photo : 瀬沼 苑子(amana)